空海が開いた天空の聖地

深く緑濃い、数百年の樹齢を持つ杉林を越えた先に、弘法大使さまが御入定されている聖地がある。研ぎ澄まされた空気の中、厳粛な気持ちになります。高野山には117もの寺院があり、奥の院までの参道には武将や著名人の供養塔が建ち並ぶ。 

 

厳かな空気が漂う奥の院参道

参道入口の一の橋から御廟までは約2kmの道のり。道は意外と綺麗に舗装されていて、歩きやすいです。参道には豊臣家、徳川家、織田信長、武田信玄など名だたる戦国武将のお墓が点在します。以外と見つけるのが大変なので、マップを手に入れて、探してみるのもいい。


 
 
 

樹齢100年以上の力強い杉の木に根っこ。参道界隈には見どころも多い。

 

 

壇上伽藍「中門」に並ぶ修復された仁王像

壇上伽藍には、真言密教のシンボルである根本大塔、金堂、御影堂などいくつものお堂や建造物が点在しています。その入口となるのが「中門」。中門には、4体の仁王像があり、外側にある「多聞天像」「持国天像」は火災を逃れ、修復。内側に新たに2012年に「増長天像」「広目天像」が造られ、2015年に四天王像と言われる「仁王像」として開眼法要されました。内側の2つは少し面白く、「増長天像」の胸元にはトンボがあり、「断じて悪を通さない、後へは引かない」という意味で前にしか飛ばないトンボで表現。「広目天像」の胸元にはセミがあり、「すべてを見ている」という意味でどこまでも声が響き渡るセミで表現されているそうです。
 

 

 

広大な敷地と堂々たる檜皮葺屋根の世界遺産「金剛峯寺」

 多数の建造物が敷地内にあり、襖絵や庭園、昔の台所など見所がたくさん。檜皮葺の屋根の上には火災時の火消し用に桶が置かれています。入口は大玄関と小玄関があり、大玄関は天皇や皇族、重職などが利用し、一般の参拝は小玄関から入ります。後半頃にある日本最大級(2,340㎡)の石庭「蟠龍庭」は、雲海の中で左に雄、右に雌の一対の龍が向かい合い、奥殿を守っているように表現されているそうです。また、奥には169畳もの大広間があり、お茶とお菓子が振舞われ、僧侶の法話を聞くこともでき、ゆっくり休憩することができますよ。

 
 
 

真言密教の根本道場のシンボル「根本大塔」

朱塗りで存在感を放つ「根本大塔」は、真言密教の根本道場として建てられました。多宝塔としては日本最古で、内陣は曼荼羅の世界を立体的に表現されています。
 

 
 
 

迫力の声明と読経と3Dプロジェクションマッピング

私が訪れたのは「開創1200年」の時で夜に素晴らしいイベントが開催されていました!高野山の僧侶とCOSMICLABとの「光の響演」。数十人の僧侶(横の金堂の回廊にもずらり僧侶がいました)の声明から静かに幕が明け、読経に変わり、大塔にプロジェクションマッピングとレーザー光線で無数の光が映し出されていきます。途中、和太鼓の音が加わり、周りが杉林に囲まれているからか音が場を満たし、圧巻の迫力でゾクゾクする感動を味わえて、とても素晴らしかったです!
 

 次は、四国八十八ヵ所を巡った後に訪れたいですね。高野山の奥の院は、結願の報告にお参りする場所でもあります。